基準線VS外形線 レザークラフトCAD型紙を描く2つのアプローチ

レザークラフトでCADを使い始めたとき、多くの方がまず最初にぶつかる疑問があります。

「型紙を作るとき、どこから描き始めればいいの?」

紙とペンで型紙を作っていたときは、外形を描いて、そこから細部を調整していく…という方も多いのではないでしょうか。しかしCADの場合、最初の一手をどこに置くかで、その後の作業効率や仕上がりの精度が大きく変わってきます。

実は、CADでの型紙の描き方は大きく2つのアプローチに分けられます。

1つは「基準線(中心線)を軸に展開する」方法。もう1つは「外形から描く」方法です。

どちらが正解、ということではありません。作りたいアイテムの性質や、ゼロから設計するのか既存の形を再現するのかによって、向いている描き方が変わってきます。

今回は、それぞれの考え方を具体例とともにご紹介します。


パターン1:基準線(中心線)を軸に展開する

「基準線から描く」というのは、必ずしも一番最初にその線を描く、という意味ではありません。

実際の作業では、まず大まかな外形のアタリを描き、そこに中心線を引き、その中心線を軸にして細部を展開していく…という流れになることも多いです。

ポイントは、最初に何を描くかではなく、寸法をどこから測っていくかという「軸」の置き方です。

カードケースで考えてみる

カードケースを例にすると、

  1. まず大まかな外形(全体のサイズ感)を描く
  2. そこに中心線(折り線)を引く
  3. 以降は、この中心線や外形線を基準に
    ・カードが収まる幅・高さを設定する
    ・重ね合わせ部分やステッチラインの位置を、外形線からの距離で決めていく
    ・対称コピーなどの機能を使って、片側を描けば反対側も自動的に決まるようにする

という流れで、型紙の細部が組み立てられていきます。

なぜ中心線を軸にすると良いのか

レザークラフト小物は対称の形状が多いと思います。中心線を軸に寸法を展開していくと、革のバラつきを両側に持ってこれるというメリットがあります。後からサイズを変更したくなったときも、中心線からの距離(寸法)を調整するだけで、対称な形を保ちながら全体を調整できます。

また、「なぜこの位置にこの線があるのか」という寸法の意図が明確になるため、後から見直したり、別のアイテムに応用したりする際にも役立ちます。

左右対称の構造を持つアイテムや、ゼロから新しいデザインを設計したい場合は、この「中心線を軸に展開する」考え方を意識してみると、CADでの型紙作りがぐっとスムーズになります。

パターン2:外形線から描く

「外形線から描く」は、すでに存在する形、
実物や写真、既存パターンなどの
外形をトレースして取り込み、そこから型紙化していく方法です。

パターン1の「中心線を軸に寸法を展開する」とは対照的に、
こちらは「完成形のシルエットが先にある」ケースに向いています。

ピークデザインのクラッチカバーで考えてみる

例えば、ピークデザイン専用のクラッチケースカバーのような、既存の製品にぴったり合わせて作るアイテムの場合、

  1. 対象となる製品の外形を写真や実物からイラストレーターなどに取り込む
  2. その外形線を読み込み、CAD上でなぞっていく
  3. なぞった外形をベースに、型紙としての各パーツに展開していく

という流れになります。

このケースでは、最初に「中心線」や「基準となる寸法」を決めてから描き始めるのではなく、「再現したい形」そのものが出発点になります。

どんな時に向いているか

外形線から描くアプローチは、

  • 既存の製品やパーツにぴったり合わせるカバーを作りたいとき
  • 複雑な曲線やカーブを含む形状を再現したいとき
  • 「この形を作りたい」という完成イメージが先にあるとき

に特に向いています。

なお、写真や実物の輪郭をCADに取り込む具体的な手順(イラストレーターでのトレースやデータ変換など)については、別の記事で詳しくご紹介する予定です。気になる方はぜひそちらもチェックしてみてください。

どちらを選ぶ?判断の目安

ここまで2つのアプローチをご紹介しましたが、実際の型紙作りでは、どちらか一方だけを使うとは限りません。

選び方の目安

  • ゼロから新しいデザインを設計したい場合 → 中心線を軸に展開する(パターン1)
  • 既存の製品やパーツに合わせて作りたい、複雑な曲線を再現したい場合 → 外形線からトレースする(パターン2)

組み合わせて使うことも多い

実際には、この2つを組み合わせるケースも少なくありません。

例えば、

  • 全体の大まかな外形は実物からトレースして取り込み(パターン2)
  • その後、内部にあける穴などは中心線を軸に展開していく(パターン1)

といった形です。

大事なのは「どちらが正しいか」ではなく、「今作りたいものの性質に合わせて、描き方を選べる」という視点を持つことです。CADは紙の型紙よりも、こうした描き方の切り替えが柔軟にできる点が強みだと感じています。

まとめ

CADで型紙を作るとき、「どこから描き始めるか」には2つの考え方があります。

AutoCADの基本コマンド5選
  • 中心線を軸に展開する:左右対称の構造を持つアイテムや、ゼロから新しいデザインを設計したいときに向いています
  • 外形線からトレースする:既存の製品やパーツに合わせて作りたいとき、複雑な曲線を再現したいときに向いています

どちらが正解というわけではなく、作りたいものの性質や目的によって、適したアプローチを選ぶことができます。そしてこの2つは、組み合わせて使うこともできます。

レザークラフトとCADを組み合わせた型紙作りについて、もっと詳しく知りたい方は、お気軽にInstagramのDMでご質問ください。

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